中北 紘子
1981年,兵庫県生まれ。2006年,東京藝術大学大学院美術研究科 絵画科油画専攻修士課程修了後,本格的に創作活動を始める。神戸と米国カリフォルニアのアトリエを拠点に制作を続け,国内外で発表。近年の個展に「Pure Radiancy」(2023年,ロンドン/TASAKI NEW BOND ST.店),「Spring Dreams」(2023年,東京/TASAKI 銀座本店),「lullaby」(2021年,東京/表参道/TIRES GALLERY by arakawagrip),「Hiroko NAKAKITA 」(2021年,NY / Mizuma & Kips),「Hiroko Nakakita 」(2020年,東京/ 新生堂ギャラリー),「Objectively」(2019年,兵庫県/ GALERIE ASHIYA SCHULE),「Blooming」(2018年,ニューヨーク/ GALLERY MAX),「Flowery colors」(同年,阪急うめだ本店美術画廊)など。その他「数寄景 ・NEW VIEW 日本を継ぐ,現代アートのいま」(2019 年,阪急うめだ本店),「華美」(同年,GINZA SIX),「リバーアートフェア 2018」(2018年,米マイアミ),「アートフェア京都」(2013年,京都)など国内外のグループ展やアートフェアにも多数出展。六本木ヒルズクラブ,SHISEIDO THE STORE / 東京,Castle Hotel & Spa /NY などが作品所蔵。
人は日々の生活の中で、常に答えを探し求めます。どのように振る舞えば他者とうまく共存できるか、行動の辻褄を合わせることに苦心します。その様な人間のあり方を俯瞰している存在としてのシャンデリアや、短命でありながら濃密に生命をうたい上げ、一生を儚くも咲き誇る花に憧れを持ち、私はこれまで描いて参りました。
人は、感情を持つ生物であるからこそ、花の様に奔放には生きられません。しかし、感情が極限まで高まったとき、深く息を吐いたり、涙や汗などの液体を発します。私にとって絵の具の垂れは、身体の奥深くから生じてくるものです。思いがけない垂れに身を委ね、その都度の予期せぬ出会いを受け容れながらも色を置くことで、魂を持った唯一の作品が生まれてきます。
溢れ出る感情と祈るような静寂を行き来しながら、私は感情を色へと置き換えています。色彩によって無作為と作為を調和させ、ひとつの幻想の世界へと昇華することで、本当の美しさが現れると私は思い、日々描いています。